「ラストエンペラー」~王朝時代の中国の長い爪~

2009年9月27日 14:34

ジェルネイル、スカルプチュア、チップなど、今ではファッションの一部となっているネイルですが、「爪を伸ばす」という習慣が王朝時代の中国でもあったこと、皆さんはご存知ですか?

 

 

「ラストエンペラー」(1987年公開)の映画を観たことがある方は「ああ、あのシーンね!」と思い出されたことでしょう。
映画の中では、西太后が権力をみせつけるように、長い爪をした指を何とも不気味な手つきで動かしているシーンがあります。私はまだ小学生でしたが、その不気味さと爪の長さに衝撃を受けたことを今でも覚えています。

 

中国でのネイルの歴史をたどってみますと、紀元前3000年には、すでにネイルケアの習慣があり、古来より指先を美しく保つことに関心が高かったようです。
紀元前600年には蜜蝋と卵白,ゼラチン,アラビアゴムを使って染料を作り出し,皇族は金や銀を爪に塗るようになったようです。
西太后の時代よりも昔の唐の時代、絶世の美女といわれた楊貴妃はおしゃれに大変気を遣っており、爪を染めるのを好んで行っていたというのは有名なお話です。

 

「爪を伸ばす」という習慣は、王侯貴族など裕福な階級を中心に、特に女性の間では廃れることなく続いてきたそうです。
「爪が伸びている=労働階級ではない」という身分の表現方法であり、爪は入念に手入れされ、鳳仙花(ホンセンカ)を使って美しく染められました。
伸ばすのは主に小指と薬指で、長さが8cmに達するものもあったそうです。
そして西太后の時代である清朝後期の后宮では、非常に長く伸ばした爪を保護するために、さらに爪の上に、爪を守るカバーのようなものをつけていたそうです。それは「護指」(他に「爪飾り」,「nailguard」などとも呼ばれている)といい、銀に七宝が施されていたものや、宝石を散りばめた金糸の細金細工のものなどがありました。それは装飾品の一種であり,大変豪華なものでした。
西太后は爪が長かったので,さらにその上に「護指」もかぶさっており,当時の外国の外交官は握手するときに大変痛い思いをしたそうです。

 

 

以上のように、昔は爪を塗るにも自然の染料を用い、爪を長くするにも自分の爪を伸ばすしか方法がなかったわけですから、美しい爪を保ち続けることはさぞかし大変だったことでしょう。

 

今、私達が使っているマニキュアは1923年に発明されました。
なんとその元は、アメリカで発明された自動車塗装用のラッカーです。自動車が大量生産される時に必要となった速乾性のラッカーが、マニキュアに応用されました。
アメリカのハリウッド女優たちがその流行発信地と言われ、徐々に一般に普及しました。また、つけ爪も同時期に登場しました。やっと自由に爪を人工的に変えることができるようになったのです。
そして1970年代に入ると、現在のようにアクリル絵の具で描いたり、ラインストーンを使って飾ったりするようになりました。ネイリストが誕生したのもこの頃です。

 

女性が自立して社会へ進出し始める時期に重なり、女性の身だしなみとして注目され始めたのです。

 

ひとこと

いつの時代もきれいでいたいという気持ちは同じですね。
爪の色も長さも自分の好みに応じて選べる今の技術に感謝して、これからもおしゃれのひとつとして楽しんでゆきたいですね。
(スタイリスト科担任 Y本)