「さらば青春の光」~モッズファッションの美学~

2008年12月27日 14:40

トリートファッションというと皆さんは何を思い浮かべますか?
パンクファッションは有名ですが、私はまずモッズファッションを思い浮かべます。

 

1979年に公開された映画「さらば青春の光」は、60年代当時イギリスのブライトンで実際に起こったモッズとロッカーズの暴動事件をハイライトに、主人公ジミーが恋人や仲間達と共に、モッズファッション、それを取り巻く音楽、ライフスタイルに没頭した青春映画です。
モッズファッションでかため、クラブで踊り明かし、ドラッグによって眠ることを忘れて仕事に行き、またクラブで踊り明かす毎日・・・。
50年代後半、イタリアンスーツに身を包み、モダンジャズを好んで聴く若者達が現れました。
彼らは”モダニスト”と呼ばれ、他者と同じ格好をするのを嫌い、スーツ、シャツ、靴までを全てオーダーで揃えていました。
ジャケットは前端が丸くカーブし、3つボタンでサイドベンツを備え、丈を短くしたタイプのもの。
パンツはスリムで丈は少し短く、シャツは衿が細長く、ネクタイもシャープなニットのもの。
そして、靴はデザートブーツが好まれていました。
しかし、それが流行りだすと我先にと新しいディティールやアイテムを採り入れ、他者とは違う格好を追い求めていくようになります。
そして、いつしかその若者達は”モッズ”と称されるようになり、ファッションのみにとどまらず、様々な音楽やライフスタイルにまで影響を与え、一大ムーブメントとなっていくのです。

 

現在でも街でポロシャツを着ている人をよく見かけるブランド”フレッドペリー”も、モッズ御用達のブランドとして定着していました。映画の中でも主人公ジミーがあの月桂樹マークのニットベストを愛用しています。
また、カジュアルなものも採り入れられ、リーバイスのジーンズも愛用されました。ぴったり細いシルエットが好まれ、新品のジーンズをはいたままお風呂に入り、濡れたまま穿き続けて身体に合わせて縮ませたそうです。

 

移動手段としては、服が汚れないスクーターが好まれ、ヴェスパやランブレッタを膨大な数のランプやミラー、ホーン等できらびやかに改造し、乗りこなしていました。それに伴い、スーツが汚れないように米軍用コート”M-51″を羽織るようになったのです。このコートは現在では”モッズコート”と呼ばれています。

 

音楽は、ジャズ、ブルース、R&B、ソウルからロックンロール、ロックステディに至るまで、様々な音楽が好まれ、毎夜クラブで最新の音楽を聴き、踊り明かしていました。

 

 

モッズスタイルがいよいよ一般化し、メディアにもとり上げられはじめると、元々新しく他者とは違うファッションやそのセンスを競って楽しんでいたモッズたちは、自らをモッズと名乗らなくなりました。
モッズファッションもただの流行となり、御用達だったクラブは次々に閉鎖、急速にムーブメントの勢いは衰えていきました。

 

近年、日本でも様々なストリートファッションが流行し、世界的に脚光を浴びています。
ストリートファッションとは、最新のコレクションの流行とは異なり、社会的背景のもとでライフスタイル、音楽、アイデンティティまでもがリンクした、若者のパワーの塊だと思います。

 

モッズファッションには当時の若者達の “他者とは違うもの” をポリシーに、新しいものを追い求めていったクールな美学が根底に息づいているのです。

 

ひとこと

現在でもモッズコートやフレッドペリーのポロシャツを着ている人をよく見かけます。
この映画は今でもなお影響を与え続けているモッズファッションを知ることが出来る一本です。 是非ご覧ください!
(ファッションデザイン科副担任 S田)